電波法

用語集
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電波法の目的

電波法の目的について、電波法第1条に次のように記されています。

この法律は、電波の公平且つ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。

電波は限りある貴重な資源であり、スマートフォンやWi-Fi、ラジオ、テレビ、ドローンなど、現代社会のあらゆる場面で利用されています。

そのため、無秩序な利用による混信妨害を防ぎ、多くの人が快適かつ安全に電波を利用できる環境を整えることが求められています。これを実現するために制定されたのが「電波法」です。

電波法の構成

  • 第1章   総則(第1条~第3条)
  • 第2章   無線局の免許等(第4条~第27条の39)
  • 第3章   無線設備(第28条~第38条の2)
  • 第3章の2  特定無線設備の技術基準適合証明等(第38条の2の2~第38条の48)
  • 第4章   無線従事者(第39条~第51条)
  • 第5章   運用(第52条~第70条の9)
  • 第6章   監督(第71条~第82条)
  • 第7章   審査請求及び訴訟(第83条~第99条)
  • 第7章の2  電波監理審議会(第99条の2~第99条の15)
  • 第8章   雑則(第100条~第104条の5)
  • 第9章   罰則(第105条~第116条)

電波法の概要

第1章 総則

電波法第1章では、電波法の目的や用語の定義が記載されています。第2条では、法令の正確な解釈のために、以下のような基本用語が定義されています。

  • 電波:300万MHz(3THz)以下の周波数の電磁波
  • 無線電信:電波を利用して、符号を送り、又は受けるための通信設備
  • 無線電話:電波を利用して、音声その他の音響を送り、又は受けるための通信設備
  • 無線設備:無線電信・無線電話その他電波を送り、又は受けるための電気的設備
  • 無線局:無線設備およびそれを操作する者の総体(但し、受信のみを目的とするものを含まない)
  • 無線従事者:無線設備の操作または監督を行う者であって、総務大臣の免許を受けたもの

第2章 無線局の免許取得

電波法第2章では、無線局の免許について記載されています。無線局の免許は、原則として総務大臣の許可が必要です。目的や周波数、設置場所などを申請し、審査に合格することで免許が与えられます。

これは電波の無秩序な利用を防ぎ、混信や妨害を避けるための仕組みです。

微弱な電波や一定条件下の小電力無線局には、免許不要の特例も設けられています。

第3章 無線設備に求められる品質・安全基準

電波法第3章では、無線設備の品質と安全性を確保するための基準が定められています。

送信設備は電波の質に関する基準、受信設備は妨害防止の基準に適合しなければなりません。

無線設備には安全施設や周波数測定装置の設置も義務付けられ、特定の機器には総務大臣による型式検定が必要とされています。

第4章 無線従事者に関する規定と資格制度

電波法第4章では、無線設備を操作するための無線従事者の資格制度が定められています。

無線局では、一定の資格を持つ無線従事者や主任無線従事者の監督のもとで設備操作が行われます。

また、無線従事者の免許取得要件や国家試験、指定講習機関・試験機関の制度も整備され、運用の適正と安全確保を図っています。

船舶や航空機、人工衛星局など特定の局には特別な資格や講習も求められます。

第5章 無線局運用に関する規定

電波法第5章では、無線局の運用に関する基本的なルールが定められています。

無線局は免許状記載の目的・範囲内で運用しなければならず、例外は遭難・緊急通信などに限られます。空中線電力や周波数の使用も制限され、混信防止や秘密保護が求められます。

船舶局や航空機局など、特定の局については聴守義務や運用規則が細かく規定されています。非常時には特例で第三者による運用も認められています。

第6章 無線局・無線従事者に対する監督規定

電波法第6章では、無線局や無線従事者に対する総務大臣の監督権限が定められています。

周波数・電力の変更命令、技術基準適合命令、電波発射停止命令、無線局検査、非常時通信体制の整備などが規定されています。また、違反時には免許取消・運用停止などの措置が講じられ、特定周波数変更への支援策も整備されています。

無線従事者の免許取消しや無免許局への指導についても明文化されています。

第7章 審査請求・訴訟手続と電波監理審議会の役割

電波法第7章では、総務大臣の処分に対する審査請求の手続き、審査の進行、意見陳述、証拠提出、裁決手続などを規定しています。

これに伴い、電波監理審議会が審査・議決を担当し、最終的に総務大臣が裁決を行います。さらに、審査結果に不服がある場合の訴訟は東京高裁が専属管轄。加えて、電波監理審議会の設置、委員の任命基準、役割、勧告権限などの規定も整備されています。

第8章 無線設備管理と電波利用に関する規定

電波法第8章では、高周波利用設備の設置許可や無線機能障害防止措置、重要無線通信保護のための建築制限、無線設備の基準適合義務、指定機関による測定器較正、電波利用料の徴収などを定める。

また、特定無線局と外国無線局間通信の特例、国や独立行政法人に対する適用除外、総務大臣権限の委任、審査請求手続き、命令改廃時の経過措置も規定し、無線通信の秩序維持と公共利益の増進を図る。

第9章 罰則規定

電波法第9章では、無線通信に関する重大な違反行為に対する罰則が規定されています。

遭難通信の取扱違反、虚偽通信、無線設備の破壊行為、通信の秘密漏洩などに対し、懲役刑や罰金刑が科されます。また、無免許運用や命令違反などにも罰則が設けられており、法人の場合には法人にも罰金刑が課されます。

これらの規定により、安全かつ秩序ある電波利用が厳格に求められています。

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