「無線設備」とは、無線電信、無線電話その他電波を送り、又は受けるための電気的設備をいう(電波法第2条)
無線設備の構成は下記のとおりになります。
- 送信設備
- 受信設備
- 空中線系
- 付帯設備
無線設備に求められる要件
送信設備
送信周波数が安定している事が求められます。
電源電圧、負荷の変化により発信周波数に影響を与えないものでなければならず、周波数を許容偏差内に維持するため水晶発振子に条件があります。
これらの内容は、無線設備規則に記載されています。
周波数の安定のための条件(無線設備規則 第15条)
周波数をその許容偏差内に維持するため、送信装置は、できる限り電源電圧又は負荷の変化によって発振周波数に影響を与えないものでなければならない。
2 周波数をその許容偏差内に維持するため、発振回路の方式は、できる限り外囲の温度若しくは湿度の変化によって影響を受けないものでなければならない。
3 移動局(移動するアマチュア局を含む。)の送信装置は、実際上起り得る振動又は衝撃によっても周波数をその許容偏差内に維持するものでなければならない。
周波数の安定のための条件(無線設備規則 第16条)
水晶発振回路に使用する水晶発振子は、周波数をその許容偏差内に維持するため、左の条件に適合するものでなければならない。
(1) 発振周波数が当該送信装置の水晶発振回路により又はこれと同一の条件の回路によりあらかじめ試験を行って決定されているものであること。
(2) 恒温槽を有する場合は、恒温槽は水晶発振子の温度係数に応じてその温度変化の許容値を正確に維持するものであること。
通信速度(無線設備規則 第17条)
手送電鍵操作による送信装置は、その操作の通信速度が25ボーにおいて安定に動作するものでなければならない。
2 前項の送信装置以外の送信装置は、その最高運用通信速度の10%増の通信速度において安定に動作するものでなければならない。
3 アマチュア局の送信装置は、前2項の規定にかかわらず、通常使用する通信速度でできる限り安定に動作するものでなければならない。
変調(無線設備規則 第18条)
送信装置は、音声その他の周波数によつて搬送波を変調する場合には、変調波の尖頭値において ±100%をこえない範囲に維持されるものでなければならない。
2 アマチュア局の送信装置は、通信に秘匿性を与える機能を有してはならない。
通信方式の条件(無線設備規則 第19条)
船舶局及び海岸局の無線電信であってその通信方式が単信方式のものは、ブレークイン式又はこれと同等以上の性能のものでなければならない。この場合において、ブレークインリレーを使用するものは、容易に予備のブレークインリレーに取り替えて使用することができるように設備しなければならない。ただし、26.175MHzを超える周波数の電波を使用する無線設備のブレークインリレーについては、この限りでない。
2 無線電話(アマチュア局のものを除く。)であつてその通信方式が単信方式のものは、送信と受信との切換装置が一挙動切換式又はこれと同等以上の性能を有するものであり、かつ、船舶局のもの(手動切換えのものに限る。)については、当該切換装置の操作部分が当該無線電話のマイクロホン又は送受話器に装置してあるものでなければならない。
3 電気通信業務を行うことを目的とする無線電話局の無線設備であつてその通信方式が複信方式のものは、ボーダス式又はこれと同等以上の性能のものでなければならない。ただし、近距離通信を行うものであつて簡易なものについては、この限りでない。
4 電気通信業務を行うことを目的とする海上移動業務の無線局の無線電話の送信と受信との切換装置でその切換操作を音声により行うものは、別に告示する技術的条件に適合するものでなければならない。
受信設備
受信設備の条件(電波法 第29条)
受信設備は、その副次的に発する電波又は高周波電流が、総務省令で定める限度をこえて他の無線設備の機能に支障を与えるものであつてはならない。
副次的に発する電波などの限度(無線設備規則 第24条 第1項)
法第29条に規定する副次的に発する電波が他の無線設備の機能に支障を与えない限度は、受信空中線と電気的常数の等しい疑似空中線回路を使用して測定した場合に、その回路の電力が4ナノワット以下でなければならない。
副次的に発する電波などの限度(無線設備規則 第24条 第2項 抜粋)
2 特定小電力無線局(2,400MHz以上2,483.5MHz以下の周波数の電波を使用するものに限る。)並びに構内無線局(2,425MHzを超え2,475MHz以下の周波数の電波を使用する移動体識別用のものであつて周波数ホッピング方式を用いるもの並びに2.4GHz帯及び5.7GHz帯の周波数の電波を使用する無線電力伝送、移動体検知センサー用の特定小電力無線局(57GHzを超え66GHz以下の周波数の電波を使用するものに限る。) 、小電力データ通信システムの無線局及び5.2GHz帯高出力データ通信システムの無線局の受信装置については、前項の規定にかかわらず、それぞれ次のとおりとする。
その他の条件(無線設備規則 第25条)
受信設備は、なるべく左の各号に適合するものでなければならない。
- 内部雑音が小さいこと。
- 感度が十分であること。
- 選択度が適正であること。
- 了解度が十分であること。
空中線系
送信空中線の型式及び構成等(無線設備規則 第20条)
送信空中線の型式及び構成は、左の各号に適合するものでなければならない。
- 空中線の利得及び能率がなるべく大であること。
- 整合が十分であること。
- 満足な指向特性が得られること。
送信空中線の型式及び構成等(無線設備規則 第22条)
空中線の指向特性は、左に掲げる事項によって定める。
- 主輻射方向及び副輻射方向
- 水平面の主輻射の角度の幅
- 空中線を設置する位置の近傍にあるものであつて電波の伝わる方向を乱すもの
- 給電線よりの輻射
受信空中線(無線設備規則 第26条)
送信空中線に関する規定は、受信空中線に準用する。
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